このページでは泌尿器科の病院や男性専用クリニックなどで行われている包茎手術のアフターケアについてと、アフターケアの際に処方される薬について詳しく解説します。
包茎手術のアフターケアとは?
病院やクリニックで行われる包茎手術は、入院する必要がなく、基本的に日帰りで行われる外科手術です。
そして抜糸の不要な包茎手術の場合は、再診する必要がないので、手術当日のみの通院になります。
従って、手術した患部の手当ては、患者さんが自分で行うことになります。
手術後に患者さん自身で行う患部の手当てのことを、アフターケアと言います。
包茎手術のアフターケアは、仕上がりや治り方にも影響があるので、非常に大切な処置になります。

また、傷口からばい菌が入らないように、感染予防対策としても非常に重要です。
アフターケアによって患部を清潔に保つことが必要です。
なお、包茎手術のダウンタイムに関しては、別のページで詳しく解説しているので、そちらもご覧ください。
クリニックから渡されるアフターケア用品

包茎手術が無事に終わった後、患者さんにはクリニックが用意した、アフターケア用品の「セット」が渡されます。
いわゆる「アフターケアキット」のようなものです。
病院やクリニックによってキットの内容は異なりますが、代表的なキットの内容を以下にまとめました。
1・包帯・テープ類

包帯やテープ類は、患部の保護と止血のために欠かせないアフターケア用品です。
包帯やテープを巻くことで、下着の中で患部が擦れないように、摩擦防止にもなります。
クリニックから渡される包帯は、伸縮性のある包帯です。
またテープ類は、医療用の低刺激タイプが渡されることが多いです。
手術後の1〜2日は、少しだけ強く、圧迫気味に巻き、3日目以降は軽めに巻くように指示されることが多いです。
包帯やテープ類の巻き方は、手術が終わった後に、担当の医師やスタッフから、丁寧な指導があるので安心してください。
2・消毒液・洗浄液・ガーゼ類

陰茎の傷口を清潔に保ち、様々な感染から守ることは極めて重要なので、消毒液や洗浄液も大切なアフターケア用品です。
患者さんに渡される溶液は、クリニックによって異なりますが、イソジン(ポビドンヨード)やマキロン(クロルヘキシジン)が代表的な消毒液です。
また、クリニックが独自にブレンドした消毒液が渡される場合もあります。
包帯やテープ類を交換する前に、まず手を綺麗に洗浄します。この手洗いは非常に重要です。
そして古い包帯やテープを外したら、患部をガーゼを使って軽く洗浄し、消毒します。
ゴシゴシとキツク洗浄する必要はありません。優しく傷口を痛めないように消毒をします。
コロナの感染予防対策などで使われたアルコール類は、絶対に使わないでください。
陰茎の傷口には刺激が強過ぎるので、症状が悪化する恐れがあります。
3・抗生剤・抗浮腫薬・消炎剤

上記の消毒液と同様に、感染予防として抗生剤などの内服薬も、非常に重要なアフターケアの薬品です。
クリニックから処方される主な抗生剤は、セフゾンやフロモックスなどのセフェム系と呼ばれる薬です。
通常は3~5日分が処方されるので、クリニックの指示に従って服用します。
抗生剤は、処方されたすべてを服用することが基本です。飲み忘れないように注意が必要です。
もし抗生剤を飲み忘れたら、思い出した時で良いので、すぐに服用します。
抗生剤は処方される内服薬の中で、最も重要な薬なので、確実に服用する必要があります。
また、むくみを軽減する抗浮腫薬や炎症を抑える消炎剤などが処方される場合もあります。
こちらもクリニックの指示に従って服用します。
処方される抗生剤などについては、以下の項目で詳しく解説しています。
4・塗り薬・ワセリン

包帯の交換時に患部に塗布する塗り薬も、非常に大切なアフターケアの薬品です。
主な塗り薬に、ゲンタシン軟膏やドルマイシン軟膏などがあります。
これらの軟膏は包帯を交換する時に、薄く延ばして塗ります。べったり塗る必要はありません。
また亀頭の乾燥防止のために、ワセリンが処方される場合もあります。ワセリンも薄く塗ります。
どちらもクリニックの指示に従って塗布します。
5・鎮痛剤・胃薬・整腸剤

いわゆる痛み止めも非常に重要なアフターケアの薬品です。
手術の際に注射した麻酔が切れると、少しずつ痛みが出てくるので、必要に応じて鎮痛剤を服用します。
クリニックから処方される主な鎮痛剤は、ロキソニン(ロキソプロフェン)やカロナール(アセトアミノフェン)などです。
通常はおおよそ3日分が処方されるので、クリニックの指示に従って服用します。
痛みが激しいからといって、多く飲んだり、何度も飲むことは良くありません。服用回数は、1日に2〜3回までです。
痛みがそれほど強くなく、我慢できる場合は服用する必要はありません。
また、胃腸をケアするために、胃薬や整腸剤が同時に処方される場合もあります。こちらもクリニックの指示に従って服用します。
これら処方される鎮痛剤などについては、以下の項目で詳しく解説しています。
6・サポーター・キャップなどの保護器具

手術を行った陰茎そものもを保護するために、クリニックによっては、サポーターなどの保護器具が渡される場合があります。
下着との摩擦を防ぐことが主な目的なので、寝る時や外出して歩く時に装着します。
単なるサポーターと呼ぶ場合もあれば、亀頭カバーや保護キャップと呼ばれる場合もあります。
これら保護器具は、シリコンやスポンジなど、柔らかい素材でできています。
それぞれのクリニックの指示に従って使います。
7・冷却用パック・保冷ジェル

手術後の腫れやむくみ、または内出血を抑えるために、アイスノンなどの冷却パックが渡される場合があります。
冷却用パックを使うのは、手術当時から3日間くらいです。
夜の寝る前などの時間のある時に、約10分間冷やします。
この時は直接患部に当てずに、必ずタオルなどで保護してから冷やします。
包帯を濡らさないように注意して、包帯の上から冷却しても大丈夫です。
冷却方法はクリニックの指示に従ってください。
8・説明書・マニュアル・その他

包帯の交換方法が説明されたプリントや冊子、または写真付きのマニュアルなどが渡される場合があります。
これらの冊子やマニュアルには、入浴や性行為、運動についてなど、制約事項や再開時期の目安などが書かれています。
また、何か問題が起こった時に、すぐにクリニックに連絡できるように、連絡先が記載されていることもあります。
近年では、LINEによる術後の確認などを実施しているクリニックもあるので、それぞれのクリニックの説明に従ってください。
アフターケアで患者さんがやること

包茎手術を受けた後、患者さんが自分で行う具体的なアフターケアについて、時系列でまとめてみます。
ただし、手術内容や患部の状態や、患者さんの体質の違いなどによって、それぞれのタイミングや状態が異なる場合があります。
手術当時~2日目
手術した患部は包帯やテープで固定されています。
手術当日は絶対に包帯やテープを外してはいけません。包帯やテープが外れないように、絶対安静が必要です。
手術後の2日間は、包帯やテープはそのままいじらずにそーっと維持して、包帯やテープの交換は3日目から行う、と指導している場合もあるので、クリニックの指示に従うことが重要です。
そして処方された抗生剤などの内服薬を指示通りに服用します。
また、麻酔が切れると痛みが出てくるので、必要に応じて処方された鎮痛薬を飲みます。
入浴は禁止です。包帯が濡れないように、シャワーを浴びることは可能ですが、シャワーも控える方が良いです。
何故なら、患部を濡らさないように工夫するのが、意外と大変だからです。そして患部や傷口に負担を与えることもあるからです。
濡らしたタオルで体を拭いたり、せいぜい洗面所や台所で頭と顔だけを洗う程度に留めることが良いでしょう。
●そして塗り薬も使わない。
●抗生剤などの内服薬は指示通りに必ず服用する。
この時の状態:出血や腫れ、そして痛みなどが出やすい。
2日目~4日目
病院やクリニックの指導通りに、ガーゼと包帯やテープを交換します。
そして処方された軟膏などの薬を患部に塗布するので、クリニックの指示に従ってください。
ワセリンが処方された場合は、亀頭には乾燥予防のためにワセリンを塗ります。傷口にも処方された軟膏を塗ります。どちらも薄く塗るのが良いです。
この時の注意点は、ガーゼと包帯・テープを外す前に、必ず手を綺麗に洗って消毒することです。
面倒とは思わずに、感染予防対策を徹底することがアフターケアでは重要です。
入浴は禁止です。シャワーは手術後3日目以降からOKの指示が出る場合もありますが、患部を濡らすのはまだNGです。
汚い手で手術後の陰茎を触ったことで、患部が感染してしまうと、改めて治療をすることになるので、余計に面倒です。
さらに、傷口の直りが遅くなるばかりか、仕上がりが汚くなることもあり、良いことは何もありません。
手術後から1週間までは、最も重要な期間なので、病院やクリニックで教わった通りに、丁寧にアフターケアをしましょう。
●患部を消毒する。
●ワセリンや軟膏を塗る。
●新しいガーゼと包帯(テープ)を巻く。
●抗生剤やその他内服薬を必ず服用する。
●痛みがある場合は鎮痛剤も服用する。
●胃薬や整腸剤が処方された場合は、一緒に服用する。
この時の状態:腫れや痛みなどが出やすい。
4日目~1週間
上記同様に、病院やクリニックの指導通りに、ガーゼと包帯やテープを交換します。
そして亀頭や傷口に、ワセリンや塗り薬を薄く塗ります。
手術から4日が経つと、患部の傷口はだいぶ落ち着いてきます。
手術後4日目からシャワーが完全に可能になる場合が多いですが、患部を濡らさないようにするのがまだベターです。
傷口が濡れると、ヒリヒリとしみるなどの痛みが出る場合があるからです。
シャワーについては、病院やクリニックの考え方によって異なるので、それぞれの指示に従ってください。
入浴は感染のリスクがあるので、まだ禁止、と指示しているクリニックが多いです。
また、まだ痛みが残る場合があるので、処方された鎮痛剤を飲みましょう。
●患部を消毒する。
●ワセリンや軟膏を塗る。
●新しいガーゼと包帯(テープ)を巻く。
●抗生剤やその他内服薬がまだある場合は、必ず服用する。
●痛みがある場合は鎮痛剤も服用する。
●胃薬や整腸剤が処方された場合は、一緒に服用する。
この時の状態:出血はなくなり、腫れが引いてくる。勃起時に痛むが、通常時の痛みはなくなる。
1週間~2週間
普通のナイロン糸で縫合した場合は抜糸が必要な時期です。
通常の抜糸は、7〜10日目頃に行うので、クリニックに相談して、診察の予約を入れます。
抜糸の必要がない吸収糸の場合は、そのまま放置して大丈夫です。
吸収糸は、通常2週間から4週間ほどで自然と糸が吸収されて消えていきます。また、表面に見えている糸は、カスになって取れる場合もあります。
また、手術から10日が過ぎると傷口はかなり安定するので、包帯やテープを巻く必要はなくなりますが、傷口を保護するために、包帯やテープを巻いても、まったく問題ありません。
特に外出時などの歩く時は、陰茎が動いたり擦れるので、包帯やテープを巻いた方が良いかもしれません。
そして、必要に応じて、ワセリンや塗り薬を引き続き塗ります。
1週間を過ぎると入浴も可能になります。傷口が濡れると多少しみたり、痛みがあるかもしれません。
入浴の可否や患部の状態が気になる場合はクリニックに相談して、必要であれば診察してもらいましょう。
●必要に応じて包帯やテープを巻いて保護する程度で良い。
●ワセリンや軟膏も必要に応じて塗る。
●服用する内服薬などは特にない。
この時の状態:傷口がふさがり始める、勃起時に痛む場合があるが、通常時の痛みはなくなる。
2週間~1か月
手術から2週間が過ぎると、傷口は非常に安定します。
患者さんが特に行うことはなく、術後の観察期間に入ります。
吸収糸を使った包茎手術の場合は、糸のカスが表面に残っている場合もあります。
簡単に取れるカスは指で取っても大丈夫ですが、無理に取る必要はありません。
性行為はまだ禁止です。自慰行為は、手術後3週間が過ぎると可能な場合があります。
傷口が完全にふさがり、勃起時に包皮が伸縮しても痛みがなければ自慰行為は可能ですが、4週間ほど我慢するのが無難です。
術後の状態が気になる場合はクリニックに相談して、診察することをおすすめします。
決して自分で判断してはいけません。この時期に無理な行為や行動が原因で、縫合部分に新たな傷が付くと、包皮にしわができたり、綺麗な仕上がりにならない場合もあります。
●服用する内服薬もない。
この時の状態:糸がなくなることで圧迫感や違和感が軽減する。傷口が安定する。
1か月~3か月
患者さんが特に行うことはありません。
おおよそ手術から4週間が過ぎると、性行為が可能になります。
運動などの激しい動きにも十分に対応できるまで回復しています。制限事項は何もなく、手術前と同じ生活に戻ります。
ただし、糖尿病や皮膚疾患などがある場合は、回復に時間がかかることが多いので注意が必要です。
●服用する内服薬もない。
この時の状態:傷跡は目立たなくなり、落ち着いてくる。
オンライン診察を利用して相談する

包茎手術後の患部の状態が気になる場合は、遠慮せずにクリニックに相談しましょう。
相談の方法は、クリニックに直接電話するか、メールを利用するのが確実です。
またクリニックによっては、LINEを利用した相談も可能です。
メールやLINEを利用した相談は、オンラインの診察と同じなので非常に便利です。
患部の写真を撮影し、メールやLINEで見てもらうことができるので、クリニックに利用方法などを相談してみましょう。
アフターケアで処方される薬について

抗生剤や鎮痛剤など、アフターケアで処方される薬について簡単に補足します。
処方される薬は、包茎手術の種類の違いなどによって異なる場合があります。
また、クリニックによって処方さる薬品の種類は異なる場合もありますが、ここでは一般的に処方される代表的な薬を取り上げます。
抗生剤や抗浮腫薬について
抗生剤は、抗菌薬とも呼ばれていますが、抗生物質という言い方が馴染みがあるかもしれません。
抗生剤、抗菌薬、抗生物質、これらは全て同じです。ここではすべて抗生剤という言い方に統一しています。
クリニックから処方される抗生剤は、一般的に3日分が渡されます。
クリニックの違いや、包茎手術の違いなどによっては、5日分が処方される場合もあります。
抗生剤の服用方法は、上記でも説明しましたが、処方された全てを服用する必要があります。
抗生剤は感染予防が目的で処方される、極めて重要な薬剤だからです。
飲み忘れないように注意が必要です。
クリニックから処方される主な抗生剤は、セフェム系と呼ばれるセフゾンやフロモックスなどです。
また、クリニックから処方される主な抗浮腫薬は、トランサミンなどがあります。
抗浮腫薬も抗生剤と同じように、処方されたすべてを飲む必要があります。
鎮痛剤や胃腸薬について
クリニックから処方される鎮痛剤は、約3日分が渡されます。
約3日分とは曖昧な言い方ですが、鎮痛剤は1日に3回必ず服用する薬ではないので、最大3日分ほどが処方される、と思ってください。
処方される主な鎮痛剤は、アセトアミノフェン(カロナールなど)です。刺激が少なく、非常に服用しやすいことが特徴です。
また多くのクリニックで処方される代表的な鎮痛剤は、ロキソプロフェン(ロキソニン)、ジクロフェナク(ボルタレン)、イブプロフェン(ブルフェン)です。
これらの鎮痛剤は、非ステロイド性抗炎症薬と呼ばれている薬剤で、先に紹介したアセトアミノフェンよりも鎮痛作用が強く、炎症を抑える効果も強いことが特徴です。
しかし刺激が少し強いので、胃腸への負担が大きくなるという欠点があります。
従って、非ステロイド性抗炎症薬が鎮痛剤として処方される場合は、一緒に胃腸薬(胃薬)が処方されることが多いです。
代表的な胃腸薬には、ランソプラゾール(タケプロン)やファモチジン(ガスター)などがあります。
もし傷口の痛みが長く続き、処方された鎮痛剤がなくなってしまったら、頭痛薬などの市販の痛み止めでも十分に対応できます。
また胃薬や胃腸薬についても同様です。
以下の症状が出たらクリニックに相談しましょう

どんなに丁寧にアフターケアを行っても、なかなかスムーズに回復しない場合もあります。
以下のような症状が出た場合は、速やかにクリニックに連絡をして、必要であれば診察してもらいましょう。
1・出血が止まらない
2・鎮痛剤が効かず、激痛が3日以上続く
3・38度以上の発熱が続く
4・膿や酷い腫れ、強い臭いがある
5・排尿がスムーズではない
6・手術した部分が黒ずんだり、傷口が開く
上記以外の症状であっても、手術後の患部の状態が気になる場合は、遠慮せずにクリニックに相談しましょう。
多くのクリニックにおいて、アフターケアはすべて無料で対応してくれます。
なお、包茎手術のダウンタイムに関しては、別のページで詳しく解説しているので、そちらもご覧ください。
包茎手術のアフターケアについてまとめ
包茎手術のアフターケアについて詳しく解説しました。
手術はたった1日で終わりますが、アフターケアには2週間ほど必要、ということが分かりました。
特に、手術後からの1週間が非常に大切なので、丁寧にそして慎重にケアする必要があります。
そしてガーゼなどを交換する時に、傷口の状態をしっかりと観察することも重要です。
ただし、傷の治り具合を、自分で勝手に判断するのは危険なので、クリニックに相談することを強くおすすめします。
多くのクリニックにおいて、アフターケアの費用は、包茎手術の費用に含まれているので、お金の心配をする必要はありません。
手術後の状態が気になる場合は遠慮せずに、クリニックに相談しましょう。

